確定申告でやるべきことのひとつに、減価償却があります。個人事業主の場合は、事業が赤字でも減価償却は強制適用になり、翌年へ費用の繰り越しはできません。ここでは、減価償却に関する基本的な内容や計算方法について説明します。 「減価償却」の計算は複雑で、経理担当どころか経営者からも「分かりにくい」という声をよく聞きます。今回は、減価償却費計算で押さえたい定率法・定額法と会計処理の注意点など、経理担当が知っておきたい「減価償却方法」について、基礎知識から会計処理上のポイントをまとめます。 事業用として購入した200万円の車を、耐用年数4年間として定額法で減価償却すると仮定しましょう。3年間乗り、4年目で車を30万円で売却した場合の仕訳を解説します。 1年~4年での減価償却費は200÷4で各年50万円です。 「減価償却」の計算は複雑で、経理担当どころか経営者からも「分かりにくい」という声をよく聞きます。しかし、減価償却費を適当に処理してしまうと、計算上の利益が増え、実際の利益に見合わない額の法人税を支払うなど、思わぬ痛手となることもあります。今回は、経理担当が知っておきたい「減価償却方法」について、基礎知識から会計処理上のポイントをまとめます。, 減価償却は、所得税法や法人税法などで定められており、支出額を一定の方法で数年がかりで経費計上していく方法です。原則として、減価償却はその固定資産の使用可能期間が1年以上、かつ、その取得価格が10万円以上の場合に適用します。こうした減価償却をする資産は「減価償却資産」と言われます。, 毎年の減価償却費は、「耐用年数」と「取得価額」を用いて計算します。業務の効率化を図るためにも、計算を始める前に「対象物に減価償却が適用できるかどうか」「耐用年数」「取得価額」を整理しておきましょう。, 減価償却の対象となる固定資産には、それぞれに「耐用年数」が定められています。仮に耐用年数を5年とすると、5年の間に固定資産の「取得価額」を少しずつ経費として計上していくことになります。, 土地や建設仮勘定など「非減価償却資産」に分類されるものもあるため、対象物かどうかの確認が必要です。調べても分からない場合は、所轄の税務署に問い合わせて確認してください。, 取得価額には、基本的に資産の購入額に加え、その引取にかかる運賃や設置費など、資産を使用できるまでに要した費用も含まれます。資産活用までに必要な費用には、引取運賃、荷役費、運送保険料、輸入手数料、関税などが挙げられます。, ただし、以下の費用については、減価償却資産の購入に関連して発生した支出であっても取得価額に含めないという選択肢を取ることが可能です。, 減価償却資産の取得方法に連動する諸費用を取得価額に含めるかどうかは、慎重に検討した上で決定する必要があります。, 法人税法の規定では、減価償却資産の取得時に必要な「税金の一部」などの費用に関しては、取得原価とせず一時費用として処理することを認めていますので、状況に応じた選択ができるように注意しておきましょう。, 法人税法では、原則として定率法での計算を求めていますが、あくまでも税務上の処理であり、会計上は法人税法で定める方法以外でも問題はないとされています。定率法以外で計算する場合は、別途届出を行うことで可能になります。ただし、「建物やソフトウェアなどは定額法で計算するほうが望ましい」など、減価償却資産の内訳によって定められた計算方法が異なる場合がありますので、注意が必要です。, ※ソフトウェアの減価償却方法については、OBC360°記事「自社利用ソフトウェアの減価償却|耐用年数、入手方法別の会計処理について」を参照ください。, 経年により資産価値は低下していきます。定率法は、残存価値に対して一定の割合で減価償却を行う方法で、償却する額は初年度がもっとも多く、その後は経年とともに減少していきます。, 上記の方法で計算した減価償却額が「償却保証額(資産の取得価額 × 耐用年数に応じた保証率)」を下回った場合、その年度から終了年までは「定率法償却率」の代わりに「改定償却率」を使って計算します。また、定率法の償却率で計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった場合は、その年以降の償却額は毎年同額となります。, 文字通り、一定額を毎年計上していく方法で、償却費の額は基本的に毎年同じ額となります。期の途中で減価償却資産を購入した場合、その年については月割りで計算を行います。, 定率法も定額法も、償却率は耐用年数ごとに定められています。償却率については「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表八、別表九、別表十に詳しく掲載されています。取得年によって率が異なるので注意しましょう。ここでは、2019年時点における最新の耐用年数15年分を紹介します。, 例えば、2019年1月に普通自動車(新車)を取得価額200万円で購入した場合、耐用年数は6年になります。このときの減価償却の計算は、それぞれ以下のようになります。, 【定率法で計算した場合】償却率・・・0.333改定償却率・・・0.334償却保証額・・・200万円×0.09911=198,220円, いずれの方法でも、帳簿上にその資産を残すため最後に1円だけ残します。これを「備忘価額」と言います。, ここでは、減価償却の会計処理を行うにあたり、経理担当者として注意しておきたいポイントについてまとめます。, 前述したように、法人税法では定率法での計算を原則としていますが、定率法以外の方法で計算することも認められています。ただしその場合、「減価償却資産の償却方法の届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。提出期限は、新たに取得した事業年度の確定申告書の提出期限、中間申告を行う場合はその中間申告書の提出期限までとなります。申告書の様式および記載要領については、国税庁のホームページからダウンロードができます。, 期の途中で減価償却できる資産を取得した場合、取得月から期末までの期間で計算を行います。, 例えば、12月決算の企業が2019年10月に乗用車を400万円で購入した場合、1年目は3ヶ月しか使用していないことになるため、各計算式に3/12を乗じて算出します。, 1年目の減価償却費 = 400万円 × 0.333 × 3/12 = 333,000円, 中古品を購入した場合、どうすればよいか迷いがちなのが「耐用年数」の算出です。中古品の場合、新品で購入したときの50%を超える購入額であれば、法定耐用年数が適用できます。新品購入額の50%以下なら、取得した時点を起点にその後の使用可能な年数を見積り、見積もった数値で減価償却費を計算します。使用可能な年数が算出しづらい場合は、下記の方法でも必要な年数を算定することができます。, ただし、計算結果が2年に満たない場合は「2年」を使用可能年数とし、算出した年数に月単位の端数が出た時は切り捨てるものとします。, 減価償却の仕訳方法には「直接法」と「間接法」の2種類があり、それぞれで会計処理が変わりますので注意が必要です。, 直接法とは、減価償却費を直接固定資産から差し引いていく方法です。例えば、取得価額10万円、耐用年数4年の固定資産を定額法で減価償却する場合、毎年の減価償却費は2.5万円になります。帳簿上では以下のように処理します。, 間接法とは、減価償却を行っても直接固定資産を減らさず、「減価償却累計額」という負債資産に集計して間接的に記帳する方法です。間接法を用いると、貸借対照表で減価償却資産の帳簿価額(取得価額―減価償却累計額)が明確に表示されることになります。, また、減価償却完了前にその資産を除却した場合は、損失額(除去時の帳簿価額―見込評価額)を「固定資産除去損」として計上します。例えば、下記の固定資産を除却した場合、以下のように処理します。, (例)取得原価100万円、帳簿価額10万円(減価償却累計額90万円)、見込評価額3万円の固定資産の除却, 損金とは、各種経費として損失した金額です。当然、減価償却費も損金算入でき、節税対策としてもメリットがあることは前述しました。しかし、損金に算入できる金額には限度があり、償却限度を超えると損金不算入となります。減価償却を行う際は、限度額に充分注意しておきましょう。なお、減価償却限度額の計算については、定率法・定額法それぞれに計算式があります。, (算式1) 定率法の償却限度額 = (取得価額 -これまでの累計償却額))× 定率法の償却率, (算式2) 調整前償却額が償却保証額に満たない場合定率法の償却限度額 = 改定取得価額 × 改定償却率, 詳しくは、国税庁ホームページ「No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)」を参照ください。, 税務の基盤となる税制法は、経済状況に合わせて改定されます。減価償却に関してはそれほど頻繁に影響するものではありませんが、それでも改正の内容によっては計算方法などがガラリと変わることもあります。過去の例では、2007年には「減価償却資産償却限度額の計算方法」が変更され、2015年の税制改正大綱では、建物付属設備と構築物の法定償却方法が変更されるなどが発生しました。こうした改正が行われると、固定資産の取得年度によって異なる計算方法を用いなければならないなど、業務負担が大きくなる可能性があります。近年では、専用のシステムで減価償却費計算が行えるようになっていますが、正しい結果を得るには、そのシステムが最新の税制法に対応しているかどうかは重要です。アップデートの時期や対応について、今一度確認しておくとよいでしょう。, 減価償却は、計算にたどり着くまでに耐用年数や取得価額を整理する必要があり、なかなか一筋縄ではいかない業務です。しかし、いま市場にはOBCの「固定資産奉行」のような減価償却に関する業務に対応するシステムも多く出回っています。資産に応じた減価償却費を自動計算したり、会計システムと連携して資産の仕訳も簡単に行えたりと、煩雑で手間のかかりやすい業務を効率化することも簡単になってきています。他にも、「固定資産奉行」では確定申告に必要となる「減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」いわゆる別表(十六)を作成できるなど、システムの機能性も充実しています。最近では、減価償却の業務に対応するクラウドサービスも登場しており、選択肢は広がりを見せています。, 健全な経営の実現には、実績に即した納税、純利益を正確に把握する意味でも、減価償却資産をしっかり管理する必要があります。このようなシステムやサービスを利用して、煩雑な業務をシンプルにし、適切に減価償却を管理できる体制を整えてはいかがでしょうか。. ①椅子 減価償却資産/ ¥ 59,724 (未償却残高 ¥238,896) → 定額法 59,724は7月まで減価償却費ですか?でしたらそれでいいです。 廃業する時点までの減価償却を必要経費として、残った金額はそのままにしておきます。 減価償却の対象となるのは、10万円以上の資産です。 そのため、15万円のノートパソコンを購入したら、4年間(ノートパソコンは4年で減価償却すると決められています)で経費にすることになります。 年度の途中で減価償却の対象となる資産(本来なら、未償還残高が残っている場合)を破棄・売却した場合の取り扱いは、ちょっと複雑。 まず、収支内訳書の減価償却の記載の仕方から。 次に売却した場合や下取りに出した場合には譲渡所得に該当するので、そ hbspt.cta._relativeUrls=true;hbspt.cta.load(2684654, '6a31f251-4dc1-4a57-9c03-4242cb919896', {}); Copyright©OBIC BUSINESS CONSULTANTS CO., LTD. All Rights Reserved.